シロクロネクロ。

シロクロネクロ 著:多宇部貞人

シロクロネクロ (電撃文庫)

本屋で表紙見て、表紙買い。
ただ、帯の煽りがちょっとなんていうか…な感じだった。
「死んでもいいから”えっち”したい!!!」
これ帯ね…正直ちょっとどうかと思うだろ! これは!
まあ、最近のラノベってこういう煽り多いと思うけど。
ちなみに第17回電撃小説大賞らしいです。

ある日突然、ゾンビにされた主人公の不二由真と、
主人公をゾンビにした、ネクロマンサー高峰雪路が、
主人公を人間に戻そうとしたり、敵対するネクロマンサーと戦ったり。
と思ったらラブコメしたり…という最近良くありがちなジャンルの作品。
それだけ説明されると、あーまたその手のかー、と思いがちだけど。
先入観を捨てて読めば中々そこそこ面白い一冊だったかなーと。
何ていうんだろう、抑えるポイントはきちんと抑えてる感じかな?

ただ、主人公の語り口調(一人称)で進むので、
何でこの主人公はこんな事語ってんだろう、って部分もあったかな。
そういうの含めてラノベライクな部分を楽しめる人なら問題無し。
擬音があったりと、往年のスレイヤーズの書き方を若干思い出す。
そんな作品…でも読みやすいといえば読みやすい。
キャラクターの立て方も悪くないかなーとは思うんだけど、
逆に立ってるだけに出番が少ないキャラが多いのが勿体無い。
ま、その辺は1巻だって事で…続くのかは判らんのだけど。
ってか調べたら今2巻出てるんだね、続刊有りならまあ納得かぁ。

あ、後秀逸だと思ったのはタイトルの語感かなー。
シロクロネクロ、作中でもシロネクロ、クロネクロと出てくるんだけど。
それをタイトルとして使ってて、シロクロネクロって言う語感の良さもあり。
最近のラノベの中じゃタイトルで興味を引かれる作品じゃないかと思う。
何よりシロネクロとクロネクロ、がなんとなくイメージで別けやすいよね。
そもそもネクロマンサー自体がアレな感じの職業ではあるんだけど。
その中にも、シロ(良い)と黒(悪い)がある、ってのが割と良かった。
まあ、実際に作品を読むとその境界線的には大分曖昧な気がするけど。

勿体無いなーと思った点はとりあえず二つ。
まず、ラスボス(というかこの巻における最後の敵)が判りやすい事。
ぶっちゃけ消去法で行けば、あの人しか居ないよねってなる。
勿論その辺はお約束的な展開部分だと処理すれば良いんだけど…。
そこが判りやすいせいで、中盤が若干茶番に見えちゃうんだよね。
その理由や考え方はきちんと説明されたりしてるから良いんだけど。
でもやっぱ何ていうかどきどき感って言うのは薄かったように思う。

もう一つは由真が脳天気過ぎる事。
もう少し最初の方は驚く、沈む、悲しむ…みたいな部分が欲しかったかな。
その後振り切って、ゾンビである事を武器にして戦うのは良かったんだけど。
一般的に考えて、主人公が元々一般的な学生である…のであれば。
こんな特殊な事に巻き込まれたら悲観するだろう、って言う部分か。
その辺がちょっと軽かったんじゃないかなぁ…とは思ったかな。
まあ、あんまり重苦しくしても…ってのもあるかもしれないけどね。

逆にセブンとの経験が最後に活きるとか。
瑠衣に後押ししてもらえる、みたいな部分は読んでて良かった。
それは結局上記した、キャラクターが立ってるという事に起因するんだけど…。
単純にキャラクターが立ってるお陰で、そういう部分が輝くんだよね。
瑠衣は敵だったけど、中盤のあのやりとりや、万里王とのやりとりとか。
セブンはセブンで、エリカとセブン、それとセブンと由真の関係とか。
そういう所がきちんと描かれてるのは全体的に良かったと思うし、
そういう所をウリにしていくべき作品なんじゃないかなーと思う。
まあ、惜しむらくはやっぱり本筋以外の尺が足りてない…って事だったけど、
それも2巻以降があるのなら、そっちに期待しておけば良いしね。
単純に若干物足りないな、と思ったのは単巻ものだと思ってたから。
っていう部分が大きいって言うのはあるんじゃないかな。

と言うわけで、帯裏で竹宮ゆゆこが短感想を書いてるけど。
あの帯裏の感想が割ときちんと作品を表してるかな、という感じでした。
単純にそこそこ面白かったし、続きがあるのならそれにも期待出来る。
そんな感じ…特にキャラクターの魅力があるのは強みだと思う。
まあ…どちらかと言えば主人公を除いて…ってなるんだけど。
主人公の由真だけはまあ、ここ最近のテンプレな部分を感じるし、
逆に言えばそういう感じの主人公の方が動かしやすいのはあるからね。
ともかく、そこはそこ、雪路やエリカ(ソファイアとは呼びにくいからエリカで)、
他にも最終的にゾンビになった万里王や、その万里王を待つ瑠衣。
後書きの後の短編(後日談)も面白かったので、良い買い物でした。

でもま、キャラも狙いすぎと言えば狙いすぎだよねw
雪路は何ていうかテンプレ的ツンデレキャラクターって感じだし。
まあ…良かったのは雪路の場合、記憶関係でツンになってた部分かな。
エリカはお嬢様、瑠衣はロリ…この辺の配置は狙ってると思うけど。
結局の所、キャラクターの魅力ってのはテンプレだからどう、テンプレじゃないからこう。
って言うわけではないと思うから、俺はこれで良いんじゃないかなーと思うよ。
セブンが退場しちゃったのが勿体無いかなぁ…とは思うんだけどね。
でもなんかネクロマンシーの定義を作中で見てる限り、
なんか肉体が滅んでても復活出来そうな雰囲気を感じるからなぁ。
その辺をどう片付けていくのか、ってのが大事かもしれないね。
簡単に復活させたりしちゃうと、それはそれで興ざめするだろうし。

そんなわけで2巻があるらしいのでそれを楽しみにしよう。
でもこれ俺本屋で買った時、新刊コーナーとかに並んでたんだけどなぁ…。
もしかしてそれからすぐに2巻目が出た、とかそういう感じなんだろうか?
まあ、レビューとリンクの為にAmazonで調べたら下に2巻があった。
ってだけなんで、実はまだ発売してなくて予約受付中です!
とかなのかもしれないけどね!

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