とある飛空士への夜想曲 上。

とある飛空士への夜想曲 上 著:犬村小六

とある飛空士への夜想曲 上 (ガガガ文庫)

と言うわけで、でてるのを全く知らなかったけど。
本屋に行った時に見つけたので買ってしまったとある飛空士シリーズの続刊。
と言うか前作で完結してた、と思ってたってのが正しいというかー…。
ぶっちゃけ続編? に当たるものがでるとは思ってなかったというか。
まあ、別の所に焦点を当てた作品、って感じと捉えれば良いかなー。
ちなみに今の所上巻だけ読み終わった状態。

とりあえず評価から言えば普通に面白かったし、
上巻読んで下巻を読まない、って言う選択肢はありえない作品かなー。
やっぱり全体的にどちらかと言えば空戦…空での表現が多いけど。
そういう部分が全然苦にならず、むしろ読んでたいと思える感じ。
前作では色々な人間関係がメインで描かれてた気がするし、
少年と少女(達)がどうやって生きていくかを描いてた気がするけど、
今回(上巻での今の所)はどちらかというと空戦がメインテーマ、かな?

とにかく千々石の空に懸ける部分と言うか…。
飛空士として空を飛び、空を飛ぶ侍としての生き様が描かれてる感じ。
空を飛ぶという事自体への憧れ、って部分では前作の方が強かったけど、
今回の千々石はある意味それよりももっと深い意味での空のイメージ。
空で戦う事、それに特化したキャラクターといえば良いかなぁ。
勿論戦争がテーマである事は間違いない部分ではあるから、
そういった意味では不謹慎とも取れる表現ってのもあるんだけどね。
撃墜した事を喜ぶ、それを誇りに思う部分と言うか…。
まあ、そういう部分は難しいかな…命を奪う、奪い取る、奪われる。
幾ら懸けている、とは言えすべて容認して良い事ではないし。
古今東西、この辺は戦争モノの作品の難しい所だと思う。

あ、後最初の方千々石より波佐見が主人公かと思ったわ。
いや…まあすぐに千々石にメインがどんどん変わっていくし、
あのキャラクターで主人公!? ってのはないと思うんだけどさ。
多分最初の方が波佐見視点で描かれてたからってのが大きいね。
実際の所もの凄い噛ませ犬な雰囲気をひしひしと感じるけど…。
結構嫌いじゃないよ、波佐見。

それとやっぱり恋愛もテーマに入ってるね。
空を飛び、戦うだけではなく、人としての恋や愛、それもテーマと言うか。
単純にユキ可愛いよね、どちらかと言えば戦艦島での生活の時点というか、
その過去でのユキが可愛いかった…ってのが大きいね。
ちなみに上巻だとまだ恋愛感情描写ってのは少ないんですが。
何でかって言うと千々石がそれを避けてるから、ってのが大きいんだけどね。
ただまあ、千々石が避ける…その理由も、理屈的には判らないでもない。
何時死ぬか判らない、空で死ぬ事に腹を括ってる。
だからこそ…という悲しい部分がね。

後飛行機のビーグルのペイントもなんとなく判って良かったな。
勇猛な動物でもなんでもないのは、千々石が唯一家族だと思ってた。
それがタレオだったから…ってのがあるからなんだろうけどね。
ある意味じゃ千々石が過去を忘れないようにしてる戒めでもあるのかな。
ユキも含めてその辺の今と過去の違いが描かれるのは下巻っぽいですけど。

強いて微妙かなぁ、って思った点はユキの名前かなぁ。
正直美空って多分プロパガンダ的な意味で、テーマにゃあってるんだけどさ。
なんつーか、今流行りだしボカロの名前でも付けておくかー。
みたいな雰囲気を感じちゃうのが、シリアスとして読んでてうーん。
って感じる部分だったかなぁ…ボカロのアレがなけりゃ名前はテーマに沿うし、
そういう意味じゃ関連性を勝手に見つけてる俺の脳内が悪いんだけどさ。
歌姫、とかアイドル、とかのフレーズが合って名前が美空(みく)って言われると。
それしか思い浮かばないし、なんか思い浮かぶと醒める部分があると言うか…。

まあ、気にしないで読めば良いと思うんですけどね。
千々石にとっては美空ではなく、ユキなわけなんだからさ。
でもやっぱ読んでると気になるんだよな、これがまた…。
普通に読み方はみそら、で良かったと思うんだけどなぁ。
ダメなんだろうか…。

と言うわけで、上巻は読み終わりましたが。
作品に関して言えば面白かったので、まあとある飛空士が行ける人なら全然。
多分勢いで上巻、下巻とさくっと読んじゃうのが一番良いと思うけどね。
こういう戦記ものとかは勢いで読む方が絶対面白いから。
なのでまあ、とりあえずさくっと下巻を読みましょう、そうしましょう。

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