Summer Pockets 感想。

Summer Pockets

と言う訳で、とりあえずSummer Pockets全体の感想を書いておきます。
久しぶりのPCゲーでしたが、個人的にはやってよかったと思ってますし、
このラインのPCゲーであればもっと沢山年間にプレイしたいのが本音。
支出は増えますけど、良かったと思えるんだからそれは悪い支出ではないのかなと。
PCゲー業界が衰退しつつあるからこそ、支えて行って欲しいなとも思いますしね。

とりあえずプレイ時間はそこまで長くないと思います。
厳密にしっかり時間を測ってプレイをする、という事はあんまりないですが…。
大体1ルート1夜(寝る前にプレイ)ぐらいの感じでクリアしていけるぐらいです。
なので全体のボリュームとしては、PCゲーなら中程度ぐらいの印象でしたね。
ただ、ボリュームが大きければ大きいほど良い、と言うわけではないですし、
中程度でもこれだけちゃんとまとまって、面白く作られてる方が良い事の方が多いです。

特にテキスト。
読みやすいし面白い所も多いので、さくさく進んじゃう部分ってのはやっぱありました。
その辺はいつものKey作品だなーって思うんですが、今回だーまえは話の骨子だけでしたっけ。
つまり、その骨子を軸にキャラ個別とALKAからPocketまでを描いた人が居るのであれば、
十分にKeyというゲーム会社の作風やテキストを出せてたんじゃないかな、と。
もちろんライターさんそれぞれの持ち味が全面に出るのが悪いというわけではなく。
やはりその会社の風土と言うか、雰囲気をしっかり取り込めるかどうか。
と言うのも、そのブランドとして出す上では大事なことですからね。

後、何よりその軸、骨子のおかげなのかは判りませんが。
何というか雰囲気が良かったと言うのは最初から最後まで感じた部分です。
ある意味田舎、というものを逃げにしてる部分と言うのはあると思うんですが、
何ていうのかなー生きていく上で逃げる事が全て悪いわけではないですし。
逃げた先で、こうして新しい夏を知り、先へ進むと言うのは大事な事なんだよなーと。
逃げずに立ち向かい事も悪くはないんでしょうが、それだけではなく。
逃げた先でこうして新しい出会いを得ることも大事なことなんだよな。
というのが描かれてました(現実的には中々難しい事ですが)。

だから鳥白島で出会う面々は皆いい人ばかりなんですよね。
現実的に考えたらそんなにいい人ばっかりと出会うわけはないんですが。
逃避先ですからね、別に自ら進んで嫌な人に関わる事もないですし。
ある意味ではいい人ばっかり本能的に選択した結果なのかもしれませんね。
多分こういうのは例えばばらかもん、とかでも描かれてる部分は同じです。
だからこそ勘違いしてはいけないんですが、嫌な事(もの)がないわけではなく。
逃げる理由となったものとはまた別のベクトルとして関わって行かなければならない。
そう言う事もあるんじゃないかなとは思いますけどね。
ゲームでそこまで描く必要はあんまりないですが。

個人的にはもう少し、良一や天膳やのみき(後静久を含めた)、
つまり鳥白島少年団の面々を含めた皆での夏を見ていたかった気はしますね。
結局の所羽依里が最後までたどり着けたのは、こいつらが皆いいヤツだったからで。
日常パートにせよヒロインルートにせよ、こいつらが居なきゃ話にならない。
まあ話にならないのはさて置いても、キャラとして魅力的でしたしね。
相変わらずKeyゲーだとこういう脇役の扱い方がうまいなと思いますよ。
日常でもヒロインルートでも決して腐らせない。

のみきはまーヒロインでも良かったぐらいデザイン出来てましたしね。
まあ、良一と天膳の尻を叩きつつ、時に羽依里にもアドバイスを与える。
そう言うキャラクターの位置付けなのでこれで良いのかもしれませんけど。
ヒロインたちとは違った所から助言をくれたりする異性の友人。
と言う美味しいのか美味しくないのか難しい立場だったな、と。

ちなみに物語的なネタバレですが、このゲームはループものです。
羽依里が島についた時に仄めかしていたデジャヴ、と言うのがしっかり使われてます。
良くある田舎に行った時の既視感みたいなのと錯覚させると言うか何というか。
田舎って行ったことないのにどこかで見たような感覚って言うのがあるんですよね。
だから羽依里がデジャヴ、と言う言葉でそれを表そうとするんですけどね。
実際にはループをしている羽依里の記憶に刻まれた風景だったって事ですね。
だから作中ゲームのシマモンも、回を追うごとに捕まえられる種類増えて行ったりとか。
この辺はリトルバスターズの時の野球ゲームにハっとさせられた時の感覚に似てました。
あれ、ループものだから毎回ステータス初期値上がっていくんですよね、確か。

ただまあ、ループものですがなんかちょっと小難しいと言うか…。
なんだろう、羽依里が羽依里の目的と意志でループさせているわけではないので、
全体的に受け身的なイメージがあったのかな、という雰囲気はありました。
この辺の考察に関しては俺はあんまり説明や解説を出来る自信がないので、
他のサイトさんで議論討論されてる所を参考にして頂いた方が良いと思いますが…。
要は羽依里はあくまでも物語を進めるためのものと言えば良いんですかね…。
物語を進めるための視点だけど、決して舞台装置ではないと言うか。
舞台装置でもあるのかな、なんかその辺難しいです。
少なくとも羽依里に特別な役割がなかったわけではないですしね。
それよりも圧倒的にしろはとうみちゃんに振られた役割が大きいだけで。

何にせよしろはがとにかく愛おしいゲームでした。
なんだろうなぁ、CLANNADで描かれなかった渚の母の思いみたいな部分と言えば良いのかなぁ…。
何よりもしろはが何のためにループして、うみちゃんが何のためにループしているのか。
ということを考えた時、あのシーンのしろはとうみちゃんの事を考えるとなーと。
愛する子を守るために、愛する母を守るために、二人とも頑張って来たのに。
それを成し遂げるためには、二人が因果として別離するしかないと言うか…。
そうなると結果的に何のためにあの夏を何度も乗り越えてきたんだろうか。
みたいに思っちゃう部分があって、だからこそしろはの思いを考えるとなーって。
だからこそPocketの最後、その夏を超えた先へ羽依里が向かうシーンで、またしろはと出会って。
その先にね、うみちゃんが存在することを祈らざるをえないわけですけども。

あ、上で羽依里は物語を進める視点みたいに書きましたけど。
そうは言ってもまた因果を取り戻した(かは描かれてませんが)のは羽依里ですからね。
少なくともあの夏の因果から抜け出して、チャーハンを軸にまたしろはと出会う。
って言うのも結局の所因果みたいなもんだと思いますし、だからこそその先にね。
うみちゃんが居ることは見えてるのかな、って言う終わり方なんですよね。
あれだけ物語の中で出てきた、親から子に伝わっていったチャーハンにね。
何ていうか因果の因の部分が残ってたのかな、って思いますよね。
何しろしろはの両親からしろはへ、しろはから羽依理とうみちゃんへ、ですからね。
チャーハンにこそ、3人をまた結びつける因があったんだろうなって思っちゃいますね。

だからね、うみちゃんを思うしろはがその思いの分愛しく見えると言うか。
そう言うふうに見えるからこそ、あの別離のシーンに涙せずにはいられない。
って言う感じかなと。

と言う訳でヒロイン皆可愛いんですけども。
このゲームにおいては圧倒的にしろはの可愛さ、愛おしさが抜けてました。
なんかやってたら勝手にしろは好きになると思うんですよねーこのゲーム。
それだけは間違いないなーと…いや本当にしろは可愛いもん!
と言う訳で本当に今年おすすめのゲーム。
多分そのうちアニメ化するでしょうけど、やっぱゲームにはゲームの良さがありますし。
んー…いわゆるR18的な方向性ってのは社長も否定してましたがうーんって感じですよね。
ただ、何ていうかあれだけ愛した先にそう言う部分がないってのも変ではありますが。

あ、最後になりましたが曲もキャストさんも良かったです。
特にキャストさんは、ヒロインに加えて良一天膳のみき、じーちゃん含めて完璧。
しろはは可愛い、紬も可愛い、鴎も可愛い、蒼もめっちゃ可愛い。
あれこれ言うことないんじゃねーの? ぐらい合ってたと思ってます。
特にしろは役の小原好美さんはまだ新人さんと言っても良いと思いますが、
しろはとうみちゃんの別離のシーンでの演技はぐっと来るものが有りました。
あ? 声フェチの俺がそう言うんだから間違いねーんだよ!
多分、小原好美さんの声含めてしろはが好きなんですよね…。

もちろん音楽はBGM含めて良かったです。
BGMはほんとに、KanonやAirをやってた頃を強く思い出しますし。
そう言った時期のゲームをやってたプレイヤーにとっては懐かしさもあって。
それがまたゲームの雰囲気をしっかり盛り上げてるんですよね…。

加えて曲ね。
やっぱりまあこれはもう言うことなしで”羽のゆりかご”でしょうよ!
歌詞もメロディも声も本当にダメダメ…この曲だけで涙しちゃうよね。
ただ、この曲に関してはどうしてもしろはとうみちゃんの別離に繋がっているので。
そう言う意味では苦い想いと言うのも同時に蘇ってしまう部分はありますが…。
OPの”アルカテイル”は前奏の部分がとても良くて、また歌詞のフレーズが良いですよね。。
何より1番は「夏の面影の中繰り返すよ」の所と2番の「夏の面影振り返るよ」の部分。
ループもののテーマソングとしてはありがちかもしれませんが、
繰り返しと、それを抜けた後にそこを振り返るというキーワード。
EDの”Lasting Moment”の爽やかさも良かったですしね。
Lasting Momentの「駆け抜けた毎日追いつけない夏が来て」の所ほんと好きです。
“ポケットをふくらませて”はグランドエンディング感十分にありましたしね。
どの曲も良くて、まさにKey! って感じでした。

と言う訳で、やった後色々喪失感がありましたが。
良いもの(ゲームでも小説でも映画でも)を観終わった後ってそうなる部分があって。
何ていうのかなぁ、もっと観たかったってのと、もう終わっちゃったのかってのと。
でもそれは自分が本当に良かったと思うものだからこそ出会う感情ですからね。
そういう感情って言うのは自分も含めて、皆大事にして行けるといいなーと思いますよね。
いや、Summer Pocketsほんとに良かったです。

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