回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員―。

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員― 著:波乃 歌

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)

自分は平凡だと思ってたお菓子作りが趣味の少年と、
運命を変える可能性がある事を修正する工作員の少女の物語。
表紙が結構良かったから、表紙を見て買ったと言っても良い。
なんだかんだで表紙はラノベの大事な要素の一つだと思うのです。
ただし挿絵含めて最近多いタイプの絵柄だなぁ、とは思ったけど。

んー、まあとりあえず基本はボーイミーツガールなジュブナイル小説かな。
平凡な少年が居て、ちょっと特殊な少女が居て、出会って話が進んでいく。
構造的には、世界を揺るがす能力を持ったが故に事件に巻き込まれていく…。
と言う物語に比べると、主人公のスケールは小さかった気はするけどね。
それでも主人公も結局いわゆる異能的なものを持ってたからなー。
良くありがちな設定ではあったんじゃないかな。

ま、とりあえずそんな新米運命工作員のノアは可愛かったけど。
ストーリー的にはなんていうかそこまで厚くはなかったかな、というのが本音。
というより、何かしら凄く良かった点って言うのもなかったし、
逆にじゃあ取り立てて読めないわってほど悪くもなかったというか…。
要するに、そういう良くありがちな美少女ラブコメだった、って事です。
強いて言えば上でも書いたけど、ノアが可愛かった事は良かったかな。

ただ、話の中の運命を語る点のスケールだけは大きいし、
こういったスケールの物事を扱う組織、って言う物自体には気を引かれる。
特にノアがその組織の新米工作員で、失敗もあるけど努力もしてる。
そういうのが描かれた部分ってのはそんなに悪くなかったかなー。
実際の所、ノアがエリートって言われてもふーんって感じだったけど。
ただ、そのぐらいの設定でないと、魅力は出せなかったのかもしれない。
要は全体的に面白そうな部分はあるけど、ヌルいよねって事なんだけどね。

ま、ぶっちゃけそういう部分をヌルく描く事で魅せよう。
って言う感じがする物語だった気もするから、それはまー別に気にならなかったけど。
出来ればなんだろうなー、もう少しヒロインであるノアを動かせると良かった気がする。
終盤なんかノアが出て行ってた所辺りから最後の最後までセリフ無し。
まあ、それは喋れる状態じゃなかったって言うシチュエーションもあるけど。
せめてもう少し、セリフか活躍するポイントか、何か与えて欲しかったなぁ…。
というのは読んで感じたかな…。

後はノアがもっと浩平に惹かれていく部分を描いても良かったかなって感じ。
まあ、なんとなくは判るんだけど…この物語ってそれが一番大事だよね。
だからこそノアは身を挺して、宿命派と対立をしようと思ったわけだし…。
でもその決意みたいなのがあまり読んでてノアから伝わってこないのが勿体無い。
そのために部活の脇役とかが居たんじゃないのかって思うんだけど…。
なんかもう少しその辺を上手く使っても良かったという気はするかなー。
まあ、尺的にあまりそこだけ厚くするのも無理だったのかもしれないけど。

ま、全体的にそのラブコメのラブな部分と言うか。
その辺が薄かった(ノアの性格的なものもあるんだろうけど)のが勿体無い。
どうせならもっとこっ恥ずかしくなるぐらいにラブを押し出しても良かったよなー。
そのぐらいじゃないと、ノアが浩平を守りたいと思った理由付けが薄いと言うか。
そもそも良く考えたらノアだって最初は浩平をイレギュラーとして排除しようとしてて。
その考え方が、浩平と暮らす事で変わって言ったという部分をもっと前面にプッシュ。
で、その理由は好きになってしまった、惹かれてしまった…で良かった気がするね。

まあでも、色々お菓子に例えたりとか。
そのものずばりお菓子の話があったりとか、そういうのは良かった気がする。
必要だったかどうかと言う事はさておいて、この作者の持ち味的な意味でだけど。

後は終盤、ノアよりも桜あかねの方が主体になってたのがなー。
良いキャラクターではあると思うんだけど、ヒロインではなくてさ。
なんかその話はスピンオフででもやったら良いんじゃ? って感じで。
まーそれを語ることで、昔の自分を今のノアに照らし合わせてた。
って言うのも判るんだけどね…ならなんでもっとノアに親身にならないのか。
まあ、いろいろ合って(しがらみね)これが妥協の限界点だった。
と言う事も、桜あかねの口ぶりから判らない事でもないんだけど。
それならそれで、もっと浩平を炊き付ける役をしても良かった気はする。
と言うか基本的に浩平を間接的に助けたのも、ある意味職務放棄だよね。
それで良いのかって言う気はするけど、それが彼女なりのノアへの心遣い。
ってのも判るかなーってのはあるけど。

それと最後の再開のシーンがあっさりしすぎてる。
終盤あれだけセリフなかったし、待ちに待った二人の再開なのに。
何の仕掛けもない、ってのはあっさりしすぎてた気はするかなぁ。
勿論浩平が普段から誰も家に居なくて、ただいまおかえりというそのやり取り。
それ自信が特別である、その上ノアが居たという事の大きさ。
ってのは考えたら判らなくはないんだけど。

というわけで、キャラクターに関しては全体的に良かった。
ノアが終盤全く出番ないのが惜しいかな、と思うぐらいだし。
主要なキャラクターはそれぞれ、割と悪くなかったかなー。
ただ、脇役の意味は判るけど、それならそれでもっと強く使って欲しかったな。
なんか居るし、ノアに好きという感覚を目覚めさせるきっかけの為に。
ってのも判るけど、なんか全体的にそのキャラに無駄な尺を裂く位なら、
その部分はちはるが担っても良かったんじゃないのか、って言う気はする。
その方が一人当たりの密度、って言うのが増えてよかったんじゃない?
ってのが全体的なキャラクターについての感想だったかなー。

ま、設定やその辺は良くありがちではあるから。
そういう部分に関して今更おおっと驚く様な部分がないのは致し方なし。
それ以外は可もなく不可もなく、読むのが辛いって事は全くなかったので。
ノアが可愛いと思えるなら全部読みきれるし、次があるなら次に期待しても良いかな。
って言う感じの作品だったんじゃないかなーっていうことで。

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