WHITE ALBUM2 -closing chapter- 小春。

三人目、杉浦小春ルートクリア。
このゲームで唯一クリアできる年下キャラクター。
って事で、ぶっちゃけゲーム始まる前から好きでした、すいません。
千晶、麻理さんに続いて、良かった(と言って良いのかは謎)シナリオでした。

さて、小春ルートも1周でした。
サブキャラの中で2周前提なのは千晶だけだったみたいで…。
そういう意味でも、ある種千晶ルートの練られ具合と言うか、力の入れよう。
って言うのは何となく伝わってくるかなーってのはあるといえばあるんですが。
ぶっちゃけ、だからと言ってこの小春ルートが適当に作られてたのか…。
って言うのは、まずやってみたら判ると思うけどありえなかったですね。
2周しなければいけないかどうか、ってのはまあ些細な問題で。
麻理さんのシナリオも小春のシナリオもきちんと力は入ってる。
それだけはまず間違いないことなのではないかなー、って感じでした。

で、このシナリオは恋愛関係に完全に山場が二つあって。
一つはどのルートでも共通してるんですけど、当然雪菜との関係性。
もう一つは小春と同じクラスで、先に春希に告白した美穂子との関係性。
何ていうのかな、三角関係がメインテーマなのがWAの特徴ではあるけど、
ccでは更に一歩進んで、三角関係の外の関係が形成されていくわけですよね。
で、更にそのまた外に三角関係(と言っても大仰ではないけど)が形成されてた。
って言う構図だったのが、この小春ルートだったんじゃないかなーと思います。
勿論、上で大仰ではないと書いたけど、その相手が別にメインで出てくる…。
というわけは無いし、春希がその相手に対して恋愛感情を持った事は無いんですが。
でも、それは春希視点と言う意味であって、小春…美穂子視点にフォーカスを写すと、
これはきちんと、立派な三角関係に見えるんじゃないかな、って言う感じ。

で、このシナリオの肝は、小春が気付かないうちにそれを形成しちゃって、
いつしか気付いてしまって、ゆっくりと壊れていく…そういう所にあるんじゃないかな。
シナリオ上でも良く呼ばれてましたが、小春は本当に小春希なところがあって。
そういう意味で本当に春樹の女バージョンだなぁ…って考え方をしてて…。
だからそんなに難しい事ではないし、人が人を好きになる事なんて、
本当は誰かに憚るものでもないのに、自分が悪いと全て抱え込んで…。
だからこそ、色んな所に爆弾を置きまくってたんじゃないかな、と。

勿論それは春希も春希で、似た様な事なんですけどね。
雪菜との関係を改善も改悪もしないまま小春に流れてしまった。
でもある意味、あの瞬間の春希の心を誰かが止められたのか、というと、
見てる限りでは誰もムリだった…あの瞬間は小春にしか無理だった。
と言う事も判って、だからこそ春樹も、小春も罪を背負う事になったんじゃないかな。

で…切ないけどその罪を、このルートでは全て雪菜が背負います。
本当は自分の傷も癒えてないのに、小春に対して言いたい事もあっただろうに、
それを全て押し殺して、雪菜が全て自分の中に抱えこんでしまうルート。
カフェで小春と会話をした後、どう思って春樹のアドレスを削除したのか。
それを考えるだけで、胸が一杯になるルートに違いは無いんじゃないかなぁ…と。
でも、雪菜が言ってた様に、もうこの時点で春希には雪菜を治してやれなくて。
だとすれば、雪菜は人ではなく、時間の流れに委ねるしかないんだよな…。
というのも理解出来るのが良いのか悪いのか…そんな感じでしたね。

でも、そのお陰で雪菜も春希から卒業出来る。
勿論、その卒業をするに当たって、もの凄く自分自身を傷つけたんだろうけど、
それでもずっと茨の中に留まっているよりは…って言う感じなんじゃないかな…。
本当はそれを3年前にやっておくべきだったというのはあるんだろうけど、
それが出来ないからこその雪菜で、同じく出来ないからこその春希で。
だからこそ…こうして3年後、また痛い思いをお互いにしてたんですよね。
で、その決意はやっぱり、春希のアドレスを削除したシーンに込められてる。

だから本当は春希があの時やるべきだった事。
その時に好きだった子を守る、たったそれだけの選択肢を、今になってやった。
シナリオの中核をなすのは、正直それだけの話だったんじゃないかと思います。
それがかずさなのか、雪菜なのか、小春なのか…ただそれだけの違いで。

なのでやっぱり、シナリオとしてはどうしても雪菜に目が行くのは仕方ないですね。
ぶっちゃけ、ああして小春と対面して、理性を保ってられる雪菜は凄いと思うし。
勿論そうせざるを得ない理由も雪菜の中にもあるんだろうとは思うんだけど…。
本当だったら、美穂子よりもよっぽど、小春をなじってもおかしくはないわけで。
そういう意味で、雪菜の強さと…同時に相手を糾弾する事が出来ない弱さと。
それから、春希の事を愛していたと言う事、その春希の事を想える優しさと。
なんていうか色々な感情が綯い交ぜになった、そんな感じでした。
最後まで春希を好きだったからこそ、小春を送り出せたって事ですよね。

というわけでシナリオについてはそんな感じで。
他のルートと違って、なんていうかもっと間接的な分どろどろするのかと思ったけど。
逆に他のルートよりもしっかりと、雪菜は春希を卒業できたのかな…って感じでした。

そして何より小春が可愛い。
ぶっちゃけそれだけでこのルートの存在する価値はあるんじゃないかな、と…。
怒ったり笑ったり、ころころと変わる表情を見れるのが凄く良かったです。
千晶も麻理さんもやっぱりころころ表情が変わるってのはあったんですけど。
それよりももっと純粋に、笑ったり泣いたり怒ったり…そんな顔をしてたな、と。
作中にもあったけど、真っ白だからこその表情の変化だったのかなぁ…と。
それに加えて、小春が作ってしまった三角関係は、歳相応の幼さでもあったな、と。

後、地味に孝宏が良い奴過ぎてヤバイ。
まあ…後々わかるけど、孝宏が好きだったのが小春ってのもあるんだと思いますが、
基本的には孝宏だけが、あの学校でずっと小春の味方だったってのが大きい。
ああいう風に動ける、考えられる人間ってのは本当に凄く少なくて。
だからこそ…小木曾家の一員なんだな、ってのが良く判る。

それと、最後少しだけ触れられてましたが。
亜子が好きだった人は孝宏で、孝宏の好きだった人が小春だったと思うんですが。
だとすれば、もしも美穂子と小春と春希の事が無くても、爆弾は炸裂した可能性…。
つまり雪菜が中学の時に起こった事、そして今回小春が遭遇したこの出来事の一つ。
それらは春希関係無しに、出来上がってたかもしれないって事ですよね。
そういう部分がシナリオ中に何となく見えてるのは結構面白かったです。
今回はそっちは爆発しなかったし、もしかしたら爆発しても良い方向に落ち着く…。
そんな可能性もあったのかなーってのは思いますけどね。

ま、そんなわけで面白かったし、小春が可愛くて良かったです。
なんかもう小春の一言一言が可愛くて仕方がなかったんだけども…。
声も良かったし、なんていうか本当に全くもって好きで仕方がない…。
終わってみたら全く持ってそんな勢いでした、はい…。

さて、次は小木曾雪菜ルート、かな?
ぶっちゃけここまで3人のルートをクリアしたけど、この後どうなるのか。
と言うか雪菜と春希の関係がどういう風に転んでいくのかはさっぱりで。
期待したいと共に、なんか若干の不安もあるような…そんな感じですよ、ほんとに。

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