ゴールデンタイム4 裏腹なるdon’t look back。

ゴールデンタイム4 裏腹なるdon’t look back 著:竹宮ゆゆこ

ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)

読み終わったので感想を。
表紙の香子はノースリーブにミニ、イメージ的には夏って感じで良いよね!
ゴールデンタイムシリーズは香子の表紙が華があって良いと思うわ…。
しかし冬(と言うか春)に読んでるというか、そんな感じで。

3巻のの時も書いたけど、読みやすい1冊でした。
本当の意味で勢い、ノリで突っ走ってるような部分が多いのは相変わらずだけど、
今回はそれに加えてそれぞれの新しい一面が描かれてて計算されてるような。
そんな感じのストーリー展開だったかな…二面性が見て取れるというかね。
万里に関しては、記憶喪失と言う面での二面性があるのは当たり前なんだけど、
香子の方の二面性、と言う面にかなり深く触れてた1冊だったかな、と。

ただ、内容を要約すると凄く判りやすいラブコメと言うか。
うーん…まあ、展開的には何となく先読みが出来る、そんな感じではあったと思う。
香子を海に連れて行く為に黙ってバイトする事にした万里とか、
そのバイト中にリンダとくっついている所を見られてからの展開とか。
ただ、この作品の軸になってるのはやっぱり恋愛要素ではあるので、
そういった展開がダメ、と言う事ではなく、ただまあ読めるねって言うだけの話。
なのではらはらすると言うよりは、やっぱりこういう展開になってしまうかー…。
って言う部分が大きかったかなって言う感じかな。

まあでもそれよりは色んなキャラクターの色んな一面。
NANA先輩が優しかったりとか、ヤナっさんがああいうバイトをこなせるとか。
そういう意味でキャラクターの動きを見るのは面白かったかな、と。
なんていうかそれぞれのキャラクターの魅力を描くのはやっぱり上手いよね。
とらドラの時もそうだったけど、キャラクター一人一人が良く立ってると言うか。

後この巻では万里が少し記憶を取り戻した事もあって、
リンダとの過去がどういうものだったか…って言う部分が少し描かれてたね。
まあ…確かに思い出すには少々辛いというか、切ない感じではあったし。
今回香子の為に、自分の為にもそれを振り切る決意を終盤してたけれども。
でも、果たして本当の意味で振り切れるのか、ってのは難しそうな感じだった。
写真を破っても、どうしたって取り戻しつつある記憶が消えるわけではないわけで。
だからリンダに対して決別の意を告げたのは、ある意味過去からの逃げ、だよね。
勿論、万里にとってそれ以外に、逃げる以外に方法がなかったのもあると思うけど。

もう一つは香子の弱さが描かれてた事かー。
これまでずっと、なんていうか強いキャラクターの面だけ描かれてたけど。
その強さを保ってた仮面を外した香子が描かれてたのが驚きだった。
なんか香子ってもうずっと、強い面だけ見せていくキャラクターってイメージ?
それが定着してたから…まあ、勿論それだけじゃキャラが成り立たないけど。
でも逆に言えば、結局お互い仮面をつけたまま付き合ってたわけで…。
その仮面を取っ払う切っ掛けが出来たのは怪我の功名だったんじゃないかな、と。

まあでも、やっぱ万里が悪いんじゃないのかなぁ…。
と、思うのは思うんだけど、これ万里が全面的に悪いとも言い難いね。
万里にしてみれば記憶がないのに、なぜかリンダにも惹かれる所があって。
でも今の万里としては香子が好きで…その間をゆらゆら揺れているというか。
しかも思い出してみればリンダが自分を気にかけてくれてた理由もそんな事だし。
万里にとっても中々難しい、そんな境遇だったから仕方ない部分はある気がするけど。

と、考えたらリンダが悪いのかなーとも思う。
なんていうか難しいね、それぞれに悪い所が少しずつあって、積み重なって。
それが今のリンダと万里の擦れ違いに繋がってしまってた部分があると思うし。
それが更に積み重なって、万里と香子の擦れ違いにも繋がってるというか…。
元をただせば一つの事なんだけど、それが波及し続けてる…と言うか。
まあでも、恋愛ごとなんていうのはそんなものなのかもしれないけど。

というわけで、そういう事が描かれてた1冊でしたが。
何よりも今回より、今後がどうなるのかと言う所が気になる部分ではあるかなぁ。
良くも悪くも今作は過渡と言うか、色んなプロセスが進んでる最中だった感じ。
そういう意味で、キャラクターの色んな面が描かれてた様な気がするし、
今後そういった面もピックアップされていくのかなと言う期待は持てる感じで。

後、ある意味万里と香子はここからスタートかなって感じ。
リンダの事を本当の意味で振り切れたのかどうかはまだ判らないんだけど…。
それでもこれから香子のことを、本当の意味で付き合っていこう、と言う決意。
そういう部分は最後に描かれてたような気がするので…やはり次回に期待って所か。
というわけで面白かったけど、割と全体的にあっさりとしてた感じではあったかな。
そういう意味でもさくさくっと読める1冊なのでは…。

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