WHITE ALBUM2 -coda- 冬馬かずさ。

まあ…もう随分と発売から経ってるので、
タイトルで少しぐらいバレても良いかという方向性で、今回のタイトルはこうなってます。
と言うか何を書いてもある種タイトルでバレが含まれてしまう気配があるので、
そうなると若干扱いが難しい…そんな気はしないでもないですが。

さて、coda。
まあ、ぶっちゃけ一つ前の記事の時点でcodaのストーリーには入ってるんですが、
あれはあくまでも、妥協したまま、三人の話が終わってしまったストーリー…。
みたいなもんであって、要するに何も解決しないままのcoda、結末です。
対してここからは、それぞれタイトルに名の着く二人の片方を選んだ…。
その結末が描かれたシナリオの感想、という事になります。

んー…まあ、正直な話をすれば、もう片方を選ぶ時点でキツいエンドだ。
と言う事はやる前から判っては居たんですが、想像以上にキツいシナリオでした。
だからこそ、中々続きをがつがつ読みたい…と思えなくて進まなかったんですが。
それでも結末は気になるし、かずさが、雪菜が、春気がどうなったのかは勿論気になるし。
そういう意味では、読み手をきちんとひきつける事には成功してた。
それだけはやっぱり間違いないなぁ…って感じでしたね。

正直、結末に関して言えばこれで良かったのかは判らなかった。
春希は、婚約までした雪菜を捨てて、かずさの元へと行ってしまう訳だけど…。
もう、正直な所を言えばその行為だけを持ってゴミクズと呼ばれても仕方がない。
そういうレベルの行為を春希はやってのけてしまったわけで。
ただ、それは春希が自分の心に嘘をつかなかった結末でもあって。
それがこの三人の関係を難しくしてる部分なんだろうなぁ…と感じるシナリオでした。
勿論、雪菜と過ごした数年間の春希が嘘だったわけではないと思うんですが。
それでも春希が取った行動、と言うのは許されるものではないはずで。

ただね、この主人公である春希のヤバい所は、
自分自身でそれを完璧に自覚してて、なおかつ自分に罰を与えてる所ですよね。
特にこのかずさルートでは、春希は雪菜を含む自分の世界を全て壊すわけです。
今まで何年も信頼をしてくれた最高の親友である武也に依緒。
社会人になる前から信頼を得ていた、現在の仕事先である出版社。
勿論それ以外の、日本で築いてきた全ての繋がり…。
それを全て壊して、かずさの元へと旅立っていくわけです。
そこが春希のなんていうか、ズルい所なんじゃないかなー。
かずさの元へいく為に、春希は全てから捨ててもらわねばならなかった。
武也や依緒みたいな友人からも、信頼を勝ち得た仕事先からも。
そして何より、雪菜から捨ててもらわなければならなかった。
だから本当の意味で春希が自分から捨てたものって一つもないんですよ。
全て、捨ててもらえるように仕向けたと言うか、ね。
それでも雪菜は最後まで捨ててくれなかったんだけども。

特に、ずっと味方をしてくれた本当の親友である武也とのやりとり。
あそこはなんていうか、読み手ながらに戻っても良いのでは…。
と思えるぐらいに、武也の真摯な、春希への想いが伝わってきました。
勿論、春希にとってはもうその時点で後戻りなんて出来るわけがないし、
そこでさらに後戻りするようだったら本当に死んでしまえば良いレベル。
そんな、恐らくかずさが今更関わらなければ一生の親友と出来た武也を振り切って。
そして本当の意味で一生の伴侶として付き合うと決めた雪菜を振り切って…。
かずさの元へ行ってしまう春希は、本当の意味で呪われてるなぁ…と。

基本的にはそう言う事がずっと描かれてるシナリオでした。
要するに、春希の中でのかずさの想いは、かずさの中での春希への想いと同じで、
時間が経ったからと言って忘れられる様なものではなかったって事ですね…。
忘れようとしても忘れられない、もはや呪いとでも呼ぶべき代物で。
逆にかずさは、誰に憚られる事もなく外国で春希を思い続けてて…。
ま、そうなった二人が偶然でも出会ってしまったらどうなるのか。
なんてのは正直、語るまでもない様な気がしないでもないんですけどね…。

ただ、じゃあ春希にとって雪菜はその程度のものだったのか…。
って部分がテーマになってくるんじゃないの? ってなるんですが…。
恐らく、春希にとっての雪菜と言うのは、とても大事な人なんだと思います。
実際の所、この雪菜への想いというのもやっぱり本物なんですよね、これ。
で、それこそが、この春希の一番厄介な所なんですよね、多分。
だからこそ、春希は全ての罪を自分が背負い、今までを全て壊して。
それを雪菜への贖罪として、かずさの元へ行ってしまうわけですが。
つまり、あの部分で判る事は、そこまでしなければならないかずさへの想いと、
そこまでしてなお償いきれぬと自分で理解してる雪菜への想い。
この二つが綯い交ぜになった、その末の結果だったんじゃないかなぁ、と。
まあ…そんな事正直、何百万人に一人が経験するのかは判りませんが。

それとかずさですが。
基本的には、出合った頃と同じ様に、弱いままです。
恐らくこの作品の中で一番成長してない、むしろする気がない。
そういう風に描かれてるのが、冬馬かずさって言うキャラでした。
弱いから、愛した人が側に居なければそれだけで生きていけなくなる。
弱いから、許した人以外の誰かが自分の世界に入ってくる事を拒絶する。
その結果が、春希をも巻き込んで二人だけの世界を作ると言う結末なんですよね。

もし、かずさがもう少し…ほんの少しでも強かったなら。
まあ、そうしたら高校・大学で話は決着してたかもしれないですよね。
弱いから、弱すぎるから…誰にも触れられない場所まで逃げたのに。
弱すぎて、再び出会ってしまったら春希に縋るしかなくて。
だからこそ春希もかずさを縋らせてしまって…。
何ていうか、悪循環のループみたいなもんですよ、これ。

でも、ある意味じゃ男と女の理想の愛の形なんですかね?
全てを捨てて、全てを投げ打って、愛する女だけを守っていく…。
文章にしたらこれで実は何も間違ってない結末なんですよね、これ。
ただ、その捨てた部分に、同じだけ愛する女が含まれてただけで…。

ちなみに最後の最後、日本を捨てる段階になって。
かずさはやっと、最低限ながらの強さを手にしてました。
ただ、その強さはただ一人を守れるだけの、小さな強さ。
それでもかずさにとっては、最大限の強さを手に入れたんだと思います。
それだけがこのシナリオのある意味救いだったんじゃないかと、改めて思います。

後、最後のビデオレター。
雪菜のPOWDER SNOWの引き語りは色んな意味でヤバかったです。
まさかここでPOWDER SNOWがかかるとは思わなかっただけに…。
しかもそれを歌うのが引き語りの雪菜…演出としてはこれ以上なかった。
POWDER SNOWはあの時の恋を、今でもずっと覚えていると言う曲。
つまり今貴方がかずさを好きだとしても、私が貴方を好きだった想いは消えない。
たった一言それだけを、春希とかずさと向き合い伝えただけの引き語り。
それで何かが変わるとも、変えられるとも思ってはいない。
けれども、それでも伝えなくちゃいけない気持ちってのもやっぱりあって。
それをたった一つの曲として歌ったのがこのシーンなんじゃないかと思う。

何より、自分はまた歌う事が出来る所まで戻ってきた。
だから心配をするな…まあ、そういった意味が込められてたんじゃないですかね…。
ほんと雪菜らしい、結局最後まで敵を含めて心配してるような感じでしたが。
雪菜はやっぱり、どこまで行っても根元にあるのはそういう所なんだろうな。
って言うのが良く判るのは良かったんじゃないかと思います。
吹っ切れたわけではないんだろうけど、あの時のあの想いがあれば…。
そういう、儚い意味合いが込められてたんじゃないかなぁ、と。

というわけで次、最後はcodaの雪菜ルート。
もう何も言う事はないですよね、最後の最後として相応しいシナリオをやろう。

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