シロクロネクロⅡ。

シロクロネクロⅡ 著:多宇部貞人

シロクロネクロ〈2〉 (電撃文庫)

シロクロネクロの2巻目。
表紙は作中で良く描写されてる、白ワンピースの雪路。
それに丈の短いライダースジャケット…と言う微妙な組み合わせの格好。
なんか微妙におしゃれと動きやすさを折衷してる感じな所が雪路っぽいよね。

ノリがほぼ1巻と同じだったのは評価しても良い。
まあ、基本的に主人公である由真の路線が変わらない方が面白いと言うか、
一度エロスケベ路線こそがゾンビである状態を保てる方法と描写した以上、
その路線を崩さないでいてくれる方が読んでて理解しやすいと言うのもあるかな?
若干、その妄想的な部分があーラノベっぽいなー、って思う所もあるけど。
この作品においては、ある意味それが一つのアイデンティティな部分もあるし。
シリアスだけ、って言うよりはそちらの方が読みやすくもあるんじゃないかと思う。

今回は特にクロネクロ側の随分上に位置するキャラが何人か出てきた。
って言うのが今後の展開に大きく関わるポイントだったんじゃないかなー。
その内一人、機械犬ゾンビ使いとは雪路が真正面から戦ってはいたけど。
やっぱり経験の差か、それとも由真を戦わせたくないから側に置かなかったからか。
単体で戦っても、きちんとゾンビを使う相手には苦戦する…ってのが良かった。
なんか昨今単体でも無双しちゃうようなタイプのキャラが多いからこそ、
ある意味では単体の限界を早めにきちんと描写してるって言う所を評価したいね。

と言うかまあ、結局由真参戦で逆転したわけだけど…。
今回のその逆転に関して言えばある意味暴走的なイメージが強いから、
毎回こういう風に由真が戦えるのか…ってのは難しい雰囲気ではあったし。
それに加えてソファイアの方もセブンを失った事による戦力のなさの露呈。
そういう部分が浮き彫りになってたのが、今後の課題って感じで良かったね。
ソファイアは正直、ゾンビ居ないとどうしようもない雰囲気すらあったし。
そうなるとアクセルロッドのナンバーズで、セブン以外を出すのかなぁ?
って言う期待感もあるんだけど…セブンが結構良いキャラだったからね。
その跡目って言われても、しっくり来るかどうかが怪しくはあるんだけど。

まあ、少なくともこの巻を読む限り、由真一人で二人を守る。
って言うのはちょっと無理っぽいかな…と言うのが見え隠れしてたと思う。
雪路に関してはセルフオーダーがあるけど、それを使っても苦戦してたわけだし。
ソファイアに至ってはセルフオーダーは使えない…つまりゾンビ必須なわけで。
そうなるとこの三人組みではあんまり強くないのかなーと言う印象はあるよね。
実際の所、雪路が由真を戦いに巻き込ませたくないからとった行動。
ってのが一番窮地を招いただけの様な気もするけど。

その辺は雪路も自分で判ってるだろうし。
ある意味ではその葛藤が、この作品のメインのテーマの一つでもあると思うし。
雪路が由真を対等に、一緒に戦う仲間としてきちんと認識するのかどうか。
って言うのも今後の見所になるポイントなんじゃないかなーって感じかな。

後雪路は段々可愛くなってきてる気がする。
元々美少女設定だけど、性格的には若干キツいだけの所もあったし。
そういう部分の険が少しずつ取れてきてる印象ってのはあったかも。
特に学校のヅカの誘いを受けた所当たり、由真に感化されてるのかなー。
って雰囲気はあったかな…ヅカが中々勇者なのは置いておくとして。

それからマリオもキャラとして味が出てきてる。
1巻でもまあ、十分個性的と言うか、ポジションを確立してたと思うけどね。
妹の為に何をする事も辞さない、自分より強いやつに噛み付く事も厭わない。
そういう風に信念のある、でも立場は違うから敵側って言うキャラで割と良い。
主人公サイド以外にも、マリオに関してはエピソードが毎回きちんと挟まれそうだし、
むしろマリオと妹の話に関してはきちんと進んで欲しいとも思うよね。
出来れば、ハッピーエンドな終わり方をして欲しいとも思うけど…。
でもマリオが既に道としてはマイナス方向の道を歩んでるし。
その辺がどうなるのかってのはあるのかもしれないけど。

後はマトリ先生とカーバンクルも割と良かったかなー。
カーバンクルを手にした雪路が願った事の意味も判るし。
カーバンクルが雪路の元に訪れたって言うのもなんとなく判るしね。
マトリ先生はいわゆるロリババア枠…まあ良い実力者って感じのイメージかな。
由真が暴走しなかったらどうなってたのかちょっと怪しい雰囲気はあるけどw
弱いわけじゃなくて、相手が強かったって言う風に捉えるべきなんだけどね。
どえらい隠し玉を持ってたってのが大きいと言うか。

そんなわけで、2巻はより大きな話へのつなぎって雰囲気が大きかったかなー。
特にクロネクロ側の実力者が動き出してるって終わり方だったし。
それに加えてシロネクロ側もあんまり雪路に対して友好的ではなくて。
ある意味では孤立…って言う感じになりつつあるって言うのが判ったし。
まあ、当然だけど雪路やソファイアに対して友好的な人もいるわけだし。
その中で雪路やソファイアがどうやって行くのかってのが見所になるのかも。
次の巻ではそういう部分ももっと大きく描かれるのかなー、わかんないけど。
少なくともシロネクロ協会の意向としては…ってのがあったからなぁ。
割とギャグキャラっぽい雰囲気はあるけど、あの阿倍野さんは。

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