エーコと【トオル】と部活の時間。

エーコと【トオル】と部活の時間。 著:柳田狐狗狸

エーコと【トオル】と部活の時間。 (電撃文庫)

結構前に買った第19回電撃小説大賞金賞受賞作。
まあ、そんなのはともかく、割と表紙が良い感じだったので買いました。
MACCOさんのイラストの表紙のエーコ(本名じゃないけど)が可愛い。
さくさくっと塗ったような(実際は違うと思いますが)雰囲気が好きです。

と言うわけで、大分前に買ってちょっと前に読み終わってました。
感想ぼちぼち書こうかな、と思いつつ割とそのままな事が多いんですが…。
やっぱり読んだ後すぐに書いた方が、その作品の感想って感じはしますね。
と言うわけでとりあえず、金賞受賞した作品の感想でも。

あ、とりあえず学園ミステリ”っぽい”作品でした。
っぽい、ってのはなんだろう…正直な所そこまでミステリしてないと言うか。
本来ミステリとして存在するはずの仕掛けが割と違和感丸出しで出て来てたので。
何ていうかああ、これを使った仕掛けなんだろうな、と言うのがすぐに読めて。
で、やっぱりかーって感じだったので、ミステリ風エンターテイメントかな、と。

でもなんだかんだでそれなりに楽しみはしました。
ミステリの仕掛けどうこう、よりは出てくるキャラクターを読む、って感じですが。
エーコに纏わる話と言うか、エーコと人体模型のトオルが会話してる部分とか。
そう言うところはそれなりに面白かったんじゃないかな、って言う感じでした。
どちらかと言えばその、トオルとどうこうの方が怪談っぽくて良いですよね。
最終的にトオルがどう、と言うのは明言されないまま終わりはしましたが…。
逆に言うと、この作品におけるトオルはそう言う存在のままで良かったと思うし、
ネタバレ(と言う書き方をするのもあれですが)されても白ける雰囲気もあるので。
主人公のエーコと読者の中だけで察する、ってのは悪く兄ないと思います。

で、まあ上述しましたがミステリに関してはうーん。
と言うのも、基本的にそこまで考えて読むような部分がないんですよね。
まあ、どう言った仕掛けを使ってどういった理由で、と言う部分はミステリチックですが。
正直な所その心情や理由に関して言えば、いわゆる犯人が語らないと判らない。
そう言う部分が非常に大きいので、考えるよりも読むしかない、と言う感じかな、と。
それに加えて一番最初に先生が、部室でお湯を沸かすのに太陽光集積装置的なもの?
何ていう名前だったか忘れましたが、それをごく普通に使ってるって言う違和感が凄い。
部室で火を使えない…そう言う理由自体は理解出来る部分ではあるんですが、
それならそんな大層な装置よりもポット持ってくるのが普通なので…。
ああ、なるほどこれが今後の何かに使われるんだろうな、と判っちゃったり。

そもそもいわゆる犯人役として使えそうな人員がほぼ固定されてたり。
まーそう言う理由でミステリと言うよりはミステリ風エンターテイメントなのかなぁ、と。
もう少し思わせぶりなキャラクターが2・3居ても良かったのかな、と思うんですが…。
逆にそれだと無駄な展開も増えそうなので、やはりエンタメとして読める最低限の存在。
その最低限のもので上手く話を構成して、読ませてる…と言う事を評価すべきですね。
そういった意味ではそこそこ面白く読み終えたかな、と言う感じでしたが。

個人的にはエーコの性格とかを楽しんだかなー。
いわゆる淡々系主人公ですが、理由があって淡々としてるのが判るので。
ただただ最初から淡々としてる主人公と違ってそんなに違和感がないのと。
淡々としながらも実はそれなりに感情もしっかりある、ってのは悪くなかったです。
まあ、言い換えるとキズ持ちだから淡々とせざるをえないって事ではありますが。
他のキャラクターはそうですね、警官の人なんかはそこそこキャラ立ってました。
と言っても重要人物というわけではないので、あくまでもそこそこ、って感じですが。
後は先生ですかね…そもそもそんなに登場人物自体多くはないんであれですけど。

後は人体模型を物語の進行役としてるのも良かったですよ。
色んな意味で人と対話しにくいエーコだから、人体模型と対話すると言うか。
人体模型とだから気兼ねなく今までの経緯を整理したり出来ると言うか…。
そう言う風なポジションのキャラクターが人体模型だったのはナイス。
心の中で二人の自分やそれこそ憑物的な何かと対話してるよりは、
人体模型と対話してる方が物語りの進みが良く判る、って言う感じですね。

と言うわけで、ガチミステリとして読むべきではないと思いますが。
ミステリチックな仕掛けやドラマ、そう言うのはしっかりとある作品ではあるので。
何よりエーコが割とキャラクターとして(個人的には)好きなので良かったです。
ただまあ、全体的に物足りない(ミステリ的な意味でも)のはあると思いますが。
その辺はまあ、割り切って読んでしまえばいいのかな、って気もします。
大賞に見合うかどうか、って言うのは正直俺には良く判りませんが。
1冊完結の作品としてはある程度しっかりまとまってたかな、と。

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