楽聖少女。

楽聖少女 著:杉井光

楽聖少女 (電撃文庫)

さっき読み終わりました。
良くも悪くも作者買い(イラストレイター買い)だという事は先に記載しておかねば。
杉井光作品は本屋に並んでて、読んでないものならとりあえず買おう、そんな感じ。
特に表紙のルゥもゴス的な可愛さがあって流石メルと言わざるをえないね!

と言う訳でとりあえず通して読んだ印象ですが。
何ていうか、ピアノソナタも含めて作者が音楽(やその歴史)が好きなのかなと。
それが一番最初に良く判る(ってかピアノソナタの時点で判ってたけど)作品でした。
特に今回もいわゆるクラシック音楽の歴史や、その曲の作者についてのあれこれ。
そういう部分を多く、ストーリーに載せてきてたのはやっぱり印象的でしたね。
むしろまんまベートーヴェンやモーツァルトと言った音楽家を出して来て。
どうするんだろうか…と思いながら読んでましたが、中々良かったです。

まあ、とは言っても基本的にそういった有名人のあたりは二次創作的な、ね。
特にベートーヴェンなんかは言うまでもなく、女の子として登場してきてたりとか。
他にもハイドンがやたら武道家だったりとか、色々変化させてる部分も多いので。
何ていうのかな、本当にその人たちがどうだったかと言うのはともかくとして、
ある意味ではきちんと一つの新しいキャラクターとして作中に存在してたかな、と。

ただまあ、こういった有名人を作中で出す方法…。
特に性別をまるまる変えちゃうような手法は個人的にはあんまり好きじゃないですけどね。
何ていうのかな…もちろんその人の名前や少しの歴史しかしらないわけなんだけど…。
それらを知ってるからこその先入観やイメージって言うものが自分の中にあるわけで。
それらを急にとっかえる…って言うのはやっぱり難しいんじゃないかなーって感じで。
特に最近多い、日本歴史の将軍等を女の子にして出す作品とか。
ああいうのがあまり好きではないのでどうかなーとは思ったんですが。

何だろう、ルゥはある意味ではもうほとんど関係ないぐらい独立したキャラになってたかな。
元々ベートーヴェンが本当にどういった性格だったのかってのを知らないのもあるだろうけど。
ルドヴィカとして、作中で生きてたと言っても良いかな…という気がしてました。
本当のベートーヴェンがどうやって作曲していたのか、そんな事は判らないけど。
ルドヴィカが信念を持って、作中で音楽を作ってるシーンは結構良かったです。
まあでも、本物のベートーヴェンもあれぐらいの信念があるからこそ今に残るのかもしれない。
って考えると、なんかこう感慨深いのかどうしてこうなったのかって思っちゃいますね。

あ、物語的にはシリアスだけどギャグテイストもある感じかな?
帯にゴシックファンタジーって書いてあったけど、確かにそんな感じですね。
なんかただの時代を遡っていく作品かと思ってたけど、もっとファンタジックな要素。
簡単に言えば魔法みたいなものや悪魔や神様的な存在が居たりとか仄めかされてたりとか。
題材的には何だろう、やっぱり音楽が中心になってるのかなーってのは思うんですが、
微妙にゲーテとパガニーニがバトルしてたり、そういう部分はシリアスだけどギャグっぽい…。
って言う印象が少しあるような、でも物語的にはシリアスな部分だったり…。
そういう意味では割と面白く読めた作品だったかなとは思います。

最後、ルゥがボナパルトを発表しようってなった部分からの流れとか。
その辺は何ていうのかなー、少年漫画の王道的部分もあって熱く読む事が出来たり。
まあ、その為にハイドンがやたらと筋骨隆々スタイルだったりしたんですけどもw
出てくるキャラに捨てキャラがいなかったのも結構良かったかな、とか思ってます。
ルドヴィカファンクラブがバカだけどそれでも最後までファンでいるぐらい強かったり。
サリエルがすんげー微妙な立ち位置なのに、最後はやれる事やってくれてたりとか。
なんかそういう部分は少年漫画の王道的なものを感じる展開でした。

後キャラクターに関してはこれ、神様のメモ帳を思い出しますねw
ルゥが口調含めてアリスにしか見えない、でもアリスとは違った部分もあったりで。
杉井さんはこういうキャラクターを作るのが上手いのかなーとか思ったりしたのと。
ゲーテ(ユキ)は鳴海であり直巳を受け継いでるのかなーって感じる部分があったり。
後、良くも悪くもどの作品(ピアノソナタ、メモ帳)も、主人公とヒロインの世界があると言うか。
そういうのが描かれてるのはやっぱ良かったかなと。

ま、簡単に言えばルゥが可愛かったと言う事です。
何だろうなー、わがまま系のヒロインって言うのが良いのかなぁ…。
でもわがまま系と言っても理不尽ではないのが杉井ヒロインと言うか。
いやまあ理不尽な部分って言うのもあると言えばあると思うんだけど…。
何ていうかそれを可愛いと思える描写が所々あるのが良いのかもしれない。

ちなみにシラーもキャラが中々良かった。
悪友ポジション? って感じなんだけど、歳的にはオッサンってのが良いね。
だからただの悪友って言うだけじゃなくて、色々根回しする頭をきちんと持ってるし。
だからこそゲーテから離れて行って…最後きちんとまた再開する事が出来た。
そういう風な所もなかなか良かったかなと思いますよ。

でも全体的にルドヴィカちゃんぺろぺろって事で。
まーファンクラブの人たちの気持ちも判らんではない方向性だったなー。
ま、最後の方はちょっと破天荒な展開でこれで良いのかと思う部分もあったけど。
元々悪魔が出てきたりしてる時点で、ファンタジックなのは折込済みなので。
とりあえずルゥが可愛いのを感じながら読めば良いんじゃないかなぁ。
って言う作品だと思います…音楽史とかもちょっと判るけど。

何にせよこの巻自体割と綺麗に終わってましたが。
最後の物言いを見る限り、まだ始まったばかり的な雰囲気は伝わってきたので。
とりあえず次巻もまたルゥが可愛い事を期待しておいて良いんじゃないですかね!
ちなみにピアノソナタもそうですが、別に音楽(クラシック)に詳しくなくても問題はないです。
多分知ってれば所々でなるほどとか、ふーんとか思える部分はあると思いますが。
基本的には知らなくても、作品の熱が消えると言う事はないと思うので。

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