Another。

Another 著:綾辻行人

Another

2011年冬(カテゴリとしては)からアニメ化もした、綾辻行人さんの長編推理小説。
読み終わった叔母から丁度アニメが始まる前に貰ってて。
折角なので、アニメを見る前に読んでおこうかな! という勢いで。
ジャンルとしてはなんだろう、一応推理小説になるっぽいんだけど。
なんと言うか若干の怪談要素が取り入れられたミステリーサスペンスって感じ。
推理小説、と言い切ってしまうのは微妙かなーという作品かなと感じた。

上でも書いたけど、基本的には推理小説ってので問題ないかなってのが読後の感想。
ただし、推理小説と言っても、いわゆる推理小説で浮かぶイメージとはズレる。
作品を読み進めていく上で一番大事にされてるのはどちらかと言えばホラー要素。
何ていうんだろうね…強いて言えば学校の怪談やその手の作品を髣髴とさせる。
その上でトリック…と言うか文章で表現してる事を上手く使ってる、と言う感じかなー。
結論から言えば叙述トリックってのが大きい感じの作品だったと思う。
まあ…うーん、後から考えると推理出来たのかなぁ、とは思うんだけど、
正直読んでる時はそこまで考えが及ばなかったかなぁ…って感じだった。
で、要するにこれを小説における叙述トリックと呼ぶんだよね、って言う。

あ、読んでて思ったのは全体的に暗くなりすぎてないって所かなぁ。
これはまあ良かった点にも悪かった点にも当てはまる事カもしれないけど。
なんていうか人は死ぬんだけど、だからといって作品が全体的に暗いか…。
といわれるとそうでもなくて、勿論明るすぎたりするわけではないんだけど。
何だろう、読んでる側としては、暗すぎず明るすぎずって感じだったと思う。
それがいい事なのかどうか、ってのはまあ判らないけど…。
ま、それは多分、作中の主人公含めて周りが若いキャラクターである。
と言う事が大きかったんじゃないかなー。

つまり、全体的に登場人物の年齢層が若く、
何ていうのかな、そういう部分で言えばライトノベルに近い構成なんだよね。
いわゆる萌えキャラとか、狙ったようなキャラが出てるわけではないんだけど。
キャラクターが若い分、会話もフランクなものが多かったりするし、
キャラクターが若い事で全体な暗さを払拭してるというか。
まあ、モチーフがモチーフだけに高年齢層で占める作品には成り得ない。
というのもあるかもしれないね…言葉はダークでも、キャラは若いからフレッシュ。
呪いや怪談や人死に…って来ると暗くなるだろうなって予想はつくんだけど。
あんまりそういう部分って言うのはなかったように思う作品だった。

ただまあ、この作品について言えばそれで良かったと思う。
だからこそ読みやすい部分もあったし、逆に軽すぎてライトノベルじゃん。
って思う部分もあった…まあ良く言えばどちらも融合されてると言うか。
どちらかに限りなく系統して描かれてるものではなかったと思うし、
学校の怪談的な部分がモチーフなんだからそれでよかったかな、と。

そんなわけで、キャラクターに関しては結構気に入って読んでた。
特に鳴…まあ勿論主人公である恒一も割と良かったと思うけど。
この作品をミステリらしく、不思議な空気にしてるのはやっぱり鳴の存在かなぁ。
眼帯で不思議な少女、って来ると少し厨二かよwww って部分はあるんだけど。
読んでるとまあ、そんなに不思議な女の子でもないんだなーと言うか。
可愛い部分が結構あるという事に気づけるのが大きいんじゃないかと。
それに恒一の方も割とうじうじぐだぐだするようなタイプではなくて、
まあ、積極的とは言えないけど有る意味理知的な感じだったし。
最後のシーン当たりは逃げ出しはしても、そら逃げ出すわってシチュエーションで、
その後きちんと鳴の所へ、鳴を助ける為に走ってるのは良かった。

後そんな鳴も良かったかなー。
最初は何で鳴が誰からも見えないんだろう? って疑問的な所から入って。
その内、この夜見北の三年三組の実情が少しずつ見えはじめて来て。
その上で鳴の立場や、考え…ってのが判ってきてなんか好きになってた。
最初の方はほんと単なる不思議ちゃん? それとも幽霊みたいな存在なの?
って感じだけど、中ほどを過ぎると何につけても鳴の存在感は大きくて。
眼帯がどうとか厨二がどうとかすいませんでした! って感じになってた。
何だろうな、これがもっと年かさが行った主人公だったとしたら、
もっとこうラブロマンス的な所がピックされてても良かったぐらいだった。
なんかその位、ヒロインとして魅力的で不思議なキャラクターだったな。
個人的には割と良キャラだったし、実は最初鳴(かその周囲)が黒幕的な!?
とか…そんな感じに見えちゃってたから、その分逆転したのが大きかった。

ま、他のキャラクターに関してはモブと言うか…。
勅使河原や望月、後は風見ぐらいしかまともに出てくるわけではないけど。
逆にあまり深く、呪いによって居なくなるキャラの事が描かれてなくて良かったかな。
まあ…どちらにせよ、人が死ぬ事がモチーフになってるのは確かだけど。
恒一視点で考えたら、例えば鳴が死ぬ、勅使河原や望月が死ぬ。
そういったシチュエーションにならなくて良かった…とも言えると思う。
その辺はまあ、読んでる俺の完全なエゴってのもあると思うけど。
他のキャラなら死んでも良くて、鳴や勅使河原はちょっと…ってのはどうなの!
って言われたら、何も反論出来ない部分はあるから。

ただ、最後まで読んで、これでよかったのか? と言う部分は残った。
何だろう、これって結局この年の…つまり恒一や鳴の代の呪いが止まっただけで、
結果的にはその後の部分って言うのは何も変わってないんじゃないのか?
つまり、物語的には今後の三年三組は同じ様になっていくんじゃないのか。
って感じで…なんだろう、根本が解決したとは言い難い終わり方だったよね。
あくまでも恒一と鳴の代の呪いが、あの合宿の日に終わりを告げた。
それだけなんだよね…まあそれで良いといえば良いのかもしれないけど。

つまりもっと根本的な部分を解決していくのかと思ったんだよね。
三年三組に降りかかった呪い、それを恒一と鳴の代ですべて終わらせる的な。
まーそこが終わり方としては不思議だったかなぁ…と思う部分はあるけど、
確かにどうすればそれを描けるのかと考えると、あんまり思いつかない気はする。
要するに何をやった所で、次の代にならないとその結果はわからないわけで…。
だとすると、作中の時間軸ではそれを描くというのは難しいわけだからなぁ…。
そういう意味では、正しい終わり方だったと言えばその通りだけど。

ま、それこそそこまで描くと推理物ではなくなってしまうしね。
Another…つまりその年の増えた一人が誰なのかを考えていく。
そういう部分を楽しむ作品だった、と考えればまず合格点な作品なわけで。
若干ミステリーかといわれると、不思議な方のミステリーではあるかなー。
と思うけど、まあこういうミステリーも良いんじゃないかなって感じだしね。
なんていうかこう、殺人とそのトリックと推理! みたいなミステリー小説。
それをイメージして読み進める作品ではないかな、ってのはあったかも。

というわけで、物語(小説作品)として非常に面白かったかな。
ただ、これ叙述トリックの部分をアニメでどう表現すんの? って気はするけどなぁ。
化粧してるとか、そういう感じの部分で誤魔化していくんだろうかなぁ…。
と、その辺は気になるので、時期的にも丁度良いしアニメを見る事にしましょう。
なんにせよ鳴がほんと思ったより可愛くて、個人的には満足したのも大きい。
しれっとしてる部分とか、ほんとに中学生かよって思う部分もあったけど。
ま、それも含めて見崎鳴、というのがきちんと伝わってきたし良かったです。

カテゴリー: 小説系 タグ: , , , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.