失われた未来を求めて。

というわけで、TRUMPLEの失われた未来を求めて。
全ルートクリア終わったのでざっくりと感想をば…。
一応ネタバレ込み、って事でご了承していただければ…。
まあ、大体ネタバレで色々書く時は折り畳んでますが。
でも多分検索で直とかだと一気に下まで見えちゃうよね!

うーん…まあ、ものは良かったんじゃないかなー、と。
特にキャラクターとか、背景とかに文句はなかった。
まず、何をさておいてもやっぱCG綺麗だよね、これ。
キャラクター然り、背景然り…十分な出来だと思う。
というより、正直な所深崎暮人さんの絵じゃなかったら、
そもそもやろうと思ってるかどうか、ってぐらいだからなー。
やっぱりこのご時世でも絵買いってのは良くある事だと思う…。
ってかあんま触れてないけど背景も十分綺麗だったよね。

でも…シナリオの方は正直微妙かなぁ…って所だと思う。
いや、設定や構成は悪くないと思うんですよね、この作品。
その設定を上手く活かし切れてない部分が多かったかなぁ…。
そういう意味じゃやっぱり勿体無い作品だと思うけど…。
まあ、元々タイムトラベルやタイムリープものって言うのかな、
この手のシナリオは余程ライターに力量がないと難しいから…。
元から100%のシナリオ求めてなかったってのはあるけど。
でも設定等々100%活かしきれてたら良作だっただろうなー。

どうかなーって思う部分は幾つかあるっちゃあるけど、
一番の問題はとにかく情報の描写が少ない事かな…。
例えば何度も書いてたけど、凪沙のAIユニットとか。
結局最終的にそのユニット自体に対して意味はなくて、
ただ単なるPC(的なもの)って感じのアイテムなんだろうけど。
それが判らないから特別凄いものなのか判断がつかない。
まあ、元々AIの解析、って言ってるからマシン自体はどうでも良い。
ってのはその通りなんだろうけど…思わせぶりだけで勿体無い。
事あるごとにAIユニットAIユニット解析解析、とか出てくるのに、
それがどれほどのモノなのか情報を出さないのが謎だったかな。

他にも細かい事言えば奏の両親や佳織の母親が何の研究してんの?
研究者の先駆けとして、ってのは確かに判らんでもないんだけど、
研究者と言ってもそりゃ色んなジャンルがあるだろうに、って感じだし。
違うジャンルの研究者だったらお手本にもなにもならないわけだしさ。
生命工学とか、その手のジャンルだって事を示唆してても良かったような。
勿論本筋には奏の両親も佳織の母親も関係はないんだけどさ。

それから多分一番大事な事なんだけど…。
キャラ同士の相関的なイベントをもっと増やした方がいいと思う。
要するにお互い、大事だと思ってる事が判るエピソードというか。
例えば奏と佳織は単純に、幼馴染的なものがあるわけだけど、
他のキャラとの間の関係ってのはそんなに描写されてないよね。
各ヒロインのルートで、奏とそれぞれのヒロインの関係性、思い。
ってのは描かれるけど、本筋にそれはあんまり関係なくてさ。
大事なのは佳織との関係、ゆいとの関係、ここの2点だと思う。

特にゆいとの関係…ってのが凄く希薄だと思うんだよね。
奏とゆいの関係は判るよ、だってヒロインとしてルートがあるもの。
佳織もゆいのルートの一つで、奏との関係を認めた描写があって、
最後には奏を譲る…といえばまあ言い方は悪いんだけどさ。
なんかこう、女の友情的なものが仄見える部分はあるけど。
凪沙やケニーからしたらゆいってそこまで大事なんだろうか?
勿論そこそこの友人、って言う感情はあると思うんだけどさ。
十数年もかかる事をずっとサポートしていこう…みたいな。
そこまでの感情を持ってる様には感じられないんだよなぁ。

確かに天文学部、という括りで見れば理解は出来るけど。
でも、それならそれでもう少し、天文学会としてのイベント。
ってのがあっても良かったんじゃないかなー…と、思うわけで。
まあ、それを増やすと、本筋とは関係ない文章が増える…。
んだけど、もしこの手のシナリオで人間味的な部分というか。
そういう所を最後に描きたいなら、やっぱ日常部分は大事だよね。
それがないから、ゆい! ゆいが大事だから何年掛かっても生み出そう!
って言われても、うーん…ってなるのがやっぱオチなんだよな…。

まあ、他にも言い出すとキリはないけど。
タイムリープ関連をもう少しきちんと描写するべきだったかなぁ。
どこの部分が繋がって(ループしてて)るのかが良く判らなかったし、
各ヒロインのエンドを見る事で何が変わってどうなって行ったのか。
っていう所が、佳織の事故の原因が変わる事ぐらいしかないから判りにくい。
要するにシナリオとして、佳織・愛理・凪沙・ゆい通常ルートがほとんど同じ。
勿論骨子は同じであるべきなんだろうけど、やっぱり変化も欲しいんだよね。
一応、天文学会が調べる事象が3者で3様してはいたんだけど…。
その事象は、そのルート毎で解決される事でもないし、
また次のループ先でそれを奏が把握してるわけでもなくて。
だから単純にただの通過点、としてしか見れないのが勿体無い。

ただ、最初は佳織を助ける、素の為に因果を断ち切る。
って事だったのに、その因果で発生したゆいを…ってのは面白いよね。
佳織を助けるだけ、ゆいを生み出すだけ…どちらかの未来だけなら、
因果を断ち切るという難儀をしなくとも、成立してるわけだし。
佳織を助け、かつその世界線でもゆいを生み出して天文学会が揃う。
つまり本来的に言えば因果のない、ゆいって言う存在を生み出す。
そこが一番の焦点であった、というのは割と面白いんじゃないかな。
だからこそ、もっとそれをきちんと描いて欲しかったけど。

ま、要するに観測者が誰だったのか。
という事を突き詰めればもっと面白い作品だと思うんですよね。
観測者自体はゆいなんだけど、その観測者は存在しえない存在で。
だからその存在を生み出す為に、佳織が助かった後も戦っていく。
中々面白い設定だと思うんですけどね、この辺りのところは。
だからこそ勿体無いし、もっと面白くなりそうだったんですが。

でもキャラは全体的に悪くなかったと思いますよ。
主人公の奏がちょっと微妙な性格だったと思いますが。
なんだろう、斜に構えてる所が若干無駄というか…。
その分愛理、凪沙、ケニーは悪くなかったんじゃないかと。
だからもっとその辺りの描写を丁寧にして欲しかったなぁ。
あ、ケニーで思い出したけど、最後の奏を奮起させるシーン。
そこまで立ち絵でケニーが一切出てこなかったのは違和感あった。
あれ、男と女にはありえない、いわゆる男と男の熱いシーンなのに。
そこまでケニーが一度も絡んでないのはやっぱちょっと違和感あるよね。

というわけでまあ、佳作…ぐらいかなぁ。
絵10、キャラ8、設定7、シナリオ3…って感じだと思う。
正直絵に関してはここ最近だと最高峰だと思うからなー。
背景も含めて、あれ以上はもう望むべくも無いと思うよ、実際。
キャラも良かったし、設定自体も全然悪くなかったと思う。
ただ、ジャンル的にシナリオにした時の難しさは半端ないし。
だからこそライターの腕、力量が必要なジャンルなんじゃないかな、と。

ちなみにcvとかもあってて良かったと思いますよ。
ゆいの喋り方だけ最初若干気になる部分はありますが。
シナリオ…というかゆいが感情が薄いって設定だから仕方ないし。
それ以外だと、佳織も愛理も凪沙も、演技含めてパーフェクトかなー。
そういう所は凄く丁寧だったのにね、やっぱ惜しい作品だと思うw

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